日本料理の陶器と美意識
日本料理は、世界で類を見ないほど、繊細で美しいと言われています。代表格がいわゆる会席料理です。その美意識は料理を盛る陶器にも表現され、一流の料亭では十品以上の料理が出て来ても、同じ陶器は使わないといいます。
陶器は料理の着物と言うべきで、料理の盛り方一つで、日本の美意識をあらわすことができます。いわゆるわびとかさびというもので、一流の料理人は器を決めてから、料理を作るとさえ言われています。また、使用される陶器は、食事をする室内のしつらえにも関わってきます。部屋の雰囲気を壊すものは絶対に使われません。
日本の文化が独自の発展を遂げたように、西洋とでは焼き物も大きく異なる点が多いです。洋食器は磁器で作られ、石の粉と粘土を合わせたものを使用します。これに対して和食器は、粘土を主材料に作られます。これは直接手に持ち、口にも当てるので、質感や温かみにこだわったことが理由なのだと言われています。
陶器には偶然出来たゆがみや不揃いなどがあり、釉のにじみ具合にも味があります。敢えてそういった状態で焼き上げ、人の手による温かみが伝わるのです。そういった和食器を、料理の献立を引き立てるように使うのが、日本料理の美意識なのです。