日本料理は海外の料理に比べて、見た目が地味になってしまう事も多いものです。素材の良さを生かすということ、味の良さということなど他に魅力がたくさんあるとはいえ、やはり食べるときには見た目が楽しいほうが気持ちも楽しくなりますし、よりおいしくみえるという事もあります。茶色のものが多い食卓は、美味しいとはわかっていても楽しみという面では半減してしまうものです。
そこで、陶器で食卓に色目を足してみるという事を意識してみましょう。様々な色で色付けされた陶器が日本にはたくさんあります。出す料理に合わせて、もっともそれが美しく、美味しそうに見える色や柄のものを取り入れていくことによって、食卓の華やかさもアップしていきます。
赤い色をプラスするとより華やかになりますし、青や緑はさわやかな印象で料理自体を引き立ててくれます。いろいろな色が組み合わさっている柄もあるので、そういったものを取り入れるのも効果的な場合があります。
なんとなく地味で落ち着いた印象がある日本料理ですが、こうした陶器の色目などに工夫を凝らしていくことで、同じものがよりおいしくみえるという事もあるものです。ぜひ料理の腕を磨くと同時に陶器選びにも力を入れていきましょう。
日本料理の印象は陶器から
日本料理と言えばどんなものを思い浮かべますか?日本料理と京料理は同義として用いられることも多いですが、どちらも素材の味を生かした薄味の洗練された料理として知られています。食材の味だけでなく、見た目や食事をとるときの雰囲気までを含め五感で楽しむものとして世界的にも有名です。最近ユネスコの無形文化遺産にも和食が登録され、世界中の注目を集める料理となりました。
料理を見た目で楽しむとはどういうことなのでしょうか。例えば同じ料理であっても、ピクニックで使うような紙皿に載せている場合と、美しい陶器の器に載せている場合では受ける印象が全く違います。このことからわかるように、日本料理いおいて重要なポイントになっている事柄として「器」があります。
日本食の代表格ともいえる京料理を育ててきた京都の町には、京焼と呼ばれる陶器のお店が沢山見られます。四季折々の食材を使った日本の料理たちをいかに魅力的に見せるのかと研究されて発展してきたのが京焼なのです。京焼を例に挙げましたが、日本にはほかにも様々な美しい陶器が存在していますよね。日本の料理を陰で支えてきたのはこの陶器たちといっても過言ではありません。
家庭でも美しい本物の器を用いることで、豊かな日本文化を味わうことができるでしょう。
小鹿田焼
小鹿田焼は大分県西部日田市の山あいにある、小鹿田地区で生産されている陶器です。江戸時代中期に隣県福岡の小石原から招かれた陶工によって窯が造られたので、小石原焼と共通する技法が用いられています。道具を使って施される幾何学的な模様が特徴で中国大陸や朝鮮半島から来た技術者の影響が随所に見られます。
元々は天領であった日田の生活雑器を賄うものとして地元以外ではあまり知られていない存在でした。昭和初期にこの地を訪れた思想家が「日田の皿山」と題して評価した一文を発表したことで、日本全国でその名が知られるようになりました。
戦後にイギリスの陶芸家が来日してここで作陶をしたことがきっかけとなり、小鹿田焼は海外にまで広がりました。小鹿田焼は代々長子相続で弟子を取らないという伝統があり、開窯以来の技法がよく保存されているとして重要無形文化財に登録されています。
今も作品に個人銘を刻むなど、小鹿田焼の品質とイメージを守り続けています。