季節がはっきりとしており四季の移り変わりを感じることを大切にしている日本では、料理にも季節を反映させることが楽しみのひとつであり、鑑賞の対象になっています。旬の食材を食べることの楽しみだけでなく、見た目の美しさで、日本料理では盛り付けや陶器にこだわり、美しい自然を再現したり、趣や情緒を感じさせるように趣向が凝らされます。
洋食器は、季節や人に合わせることよりも、セットになった統一感がある美しさに重きを置いていることが多く、そろっていることが美しいとされていますが、日本料理では、セットになっていることよりも、季節というテーマに合わせた陶器選びを行い、料理と食器を物語のように重ね合わせることで季節感を演出することの美しさに重きを置いており、世界でも珍しい文化ということができます。
日本料理を盛り付ける陶器を選ぶときには、大きさや形、色などとともに、重さや肌触り、持ったときや口をつけた時の質感など、四季を五感で感じることができるように選ぶ傾向があります。食器を持って食べることは、他の文化にはない特徴で、陶器を食事をすることで鑑賞することで、さらに四季を感じておいしく食べることができる素晴らしい文化です。